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熊本に行って感じたこと。産業が街全体を元気にする

前回は、久しぶりに訪れたダナンについて書きましたが、今回は熊本編です。

熊本を訪れたのもかなり久しぶりで、最後に行ったのは10年以上前。

今回、久しぶりに熊本へ行って、最初に感じたことは、日本の地方都市の中でも珍しいぐらい、街に活気があるということでした。
人が多いというだけではなく、街全体に勢いがあり、これからさらに発展していきそうな空気を感じました。

■TSMCの進出で盛り上がる熊本

熊本の活気を語るうえで、やはり外せないのが、世界的な半導体メーカーであるTSMCの進出です。
正確には、TSMCが過半数を出資するJASMという会社が熊本県に設立され、TSMCにとって日本で初めてとなる工場が建設されています。

JASMには、ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー、トヨタ自動車も出資しており、熊本を中心に新たな半導体産業の集積が進んでいます。

一つの企業、一つの工場ができただけで、街がそこまで盛り上がるのだろうかと、最初は少し不思議に思っていました。

ただ、実際にはTSMCの工場だけではなく、半導体の製造に必要な材料、設備、物流、建設、人材サービスなど、多くの関連企業が集まってきます。

TSMCと直接取引をする企業だけではなく、半導体産業全体の成長を見込んで、新たに熊本へ進出する企業も増えているのだと思います。

工場ができれば、そこで働く人が必要になります。
働く人が増えれば、住宅や飲食店、ホテル、交通、教育、医療など、周辺のさまざまなサービスにも需要が生まれます。

一つの大きな産業が、関連する企業や雇用を呼び込み、街全体にお金が回っていく。

今回の熊本では、産業の成長が街の活気につながっている様子を、実際に感じることができました。

■熊本と台湾の距離が近くなっている

今回、熊本で金融機関の方とお会いする機会がありました。

その際、「今の熊本は、TSMCと台湾と一蓮托生ですよ」と、冗談交じりに話されていました。
良い意味で、それぐらい熊本と台湾の関係が深まり、官民を挙げて連携しているということなのだと感じました。

TSMCという台湾を代表する企業が熊本へ進出したことで、台湾における熊本の認知度も大きく上がったのではないかと思います。
現在、阿蘇くまもと空港からは、台北だけではなく、高雄や台中にも直行便が運航されています。

熊本と台湾を約2時間半で結ぶことができ、観光やビジネスの両面で、以前よりも行き来しやすい環境になっています。
台湾から働きに来る人や出張で訪れる人が増えれば、その家族や友人も熊本を訪れるようになります。

家族や友人から「熊本は楽しかった」「食事がおいしかった」「温泉が良かった」という話を聞けば、さらに熊本へ行ってみたいと思う人も増えます。

企業の進出がビジネス目的の人の移動を生み、その人たちが熊本の魅力を周囲へ伝えることで、観光客の増加にもつながっていく。
産業と観光が別々に存在するのではなく、お互いに影響し合いながら街を盛り上げているのだと思います。

■企業の進出が、街の認知度まで変える

TSMCの進出によって変わったのは、雇用や経済だけではありません。
熊本という街そのものの認知度も高まったと感じます。

これまでも熊本は、熊本城や阿蘇、黒川温泉など、観光地として有名な地域でした。
ただ、TSMCの進出によって、これまで熊本にあまり関心を持っていなかったビジネス層や海外の人からも、注目されるようになりました。

企業の進出がニュースとなり、ニュースをきっかけに熊本を知り、熊本について調べる人が増える。
調べてみると、温泉や自然、食事など、半導体以外にも多くの魅力があることが分かります。

さらに、熊本県は『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎先生の出身地でもあります。
『ONE PIECE』は海外でも非常に人気が高く、熊本県内には麦わらの一味の銅像も設置されています。
半導体、温泉、自然、食、漫画など、海外から人を呼ぶための入口が一つだけではなく、複数あることも熊本の強みだと思います。

熊本も同じように、さまざまな魅力を持っているからこそ、幅広い人を呼び込めるのだと感じました。

■人口約73万人の独立した地方都市

熊本市の人口は、2026年6月1日時点で約73万3,000人。

人口だけを見れば、日本最大級の都市というわけではありませんが、
人口70万人前後で、地域の中心として成り立っている都市は、全国を見てもそれほど多くありません。
※近い規模感の地方都市としては、新潟市、岡山市、浜松市、静岡市などがあります。

今回、実際に熊本の街を歩いてみると、百貨店や商店街、飲食店などが集まっており、街の中心部にもかなりの規模がありました。

少し失礼な言い方になりますが、訪れる前に想像していた以上に都会でした。
単に建物が多いということではなく、街の中心に人が集まり、買い物や食事を楽しんでいる姿が多く、地方都市としてしっかり成立している印象を受けました。

人口の規模だけでは、街の活気は判断できません。
同じ人口規模でも、大都市へ通勤する人が多いベッドタウンと、その地域の中心として人や企業が集まる都市では、街の見え方や経済の動きが大きく異なります。
熊本は、九州の中でも独立した経済圏を持つ、力のある地方都市なのだと感じました。

■産業の成長が街全体へ波及している

今回の熊本で特に印象に残ったのは、一つの成長産業が、街全体に大きな影響を与えていることです。

TSMCの工場ができたことで、半導体関連企業が集まる。

企業が集まることで、雇用が生まれる。
働く人が増えることで、住宅や飲食店、ホテル、交通などの需要が増える。
台湾との直行便が増え、人の往来が活発になる。
海外での熊本の認知度が上がり、観光客の増加にもつながっていく。

このように、一つの大きな投資が、さまざまな産業へ波及していました。

■今回考えたこと

熊本は、一つの産業をきっかけに、街全体が大きく動いている都市でした。
もちろん、今後もすべてが順調に進むとは限りません。

一つの企業や産業への依存が大きくなりすぎることや、人材不足、住宅価格、交通渋滞など、新しい課題も出てくると思います。
ただ、人口減少や地方経済の衰退が語られることが多い日本の中で、これほど街全体に勢いを感じられる地域は珍しいと思います。

産業が成長し、人が集まり、企業が集まり、交通が充実し、観光にもつながっていく。
熊本は、産業によって地域が活性化している代表的な都市の一つだと感じました。
また、熊本にもともとあった食、温泉、自然、文化などの魅力に、半導体という新しい産業の魅力が加わっています。

新しいものだけで街をつくるのではなく、もともと持っている地域の魅力と、新しい産業を組み合わせる。
その結果として、ビジネスで訪れる人にも、観光で訪れる人にも、暮らす人にも魅力のある街になっているのだと思います。

今回は短い滞在でしたが、街の活気や食事、人の温かさなど、さまざまな魅力を感じることができました。

また機会があれば、ぜひ熊本を訪れてみたいと思います。

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