経験者=その仕事ができる人、ではない。
ちょっと文系職採用に寄った話かもしれませんが、
採用の現場にいると、よく下記のようなケースがあります。
「良い人がなかなか採用できなくて…」
「経験者に絞って募集してるのに、応募がまったく来ません」
よく見る、経験者簿の募集ですが、
“経験者”って、本当にその仕事ができる人のことなのかなと。
実は、採用が決まりにくい会社にはある共通点があります。
それが、「そもそも、そのターゲットって本当にいるの?」という状態になっていること。
たとえば、採用要件にこう書いてあるとします。
・業界経験5年以上
・長時間労働OKの方
・柔軟な異動に応じられる
・年収はそれなり
・やりがい?まあ、あるとは思います
…これ、求人出しても応募が来ない理由、分かりますよね。
いわば「自分はモテないけど、可愛い子と結婚したい」と言ってるのと同じ構図です。
ターゲットが存在していないか、口説く理由がないか
ターゲット設定ができていない企業には、大きく2つのパターンがあります。
1. そもそもターゲットが市場にいない
求人を出しているターゲットが“理想像”であって、“ほぼ実在しない”。
もしくは、いても年収や条件の合う他社に取られてしまっている。
2. 口説く理由がない
求職者の立場で見たとき、「なんでその人がうちの会社に来るのか?」が語れてない。
給与も、働き方も、仕事内容も、応募の動機になるものが見当たらない。
条件とターゲットが合っていない。
「経験者が欲しい」という落とし穴
企業がよく陥るのが、「経験者がほしい」という思考のまま採用を進めてしまうこと。
でも、“経験者”=“即戦力”ではありません。
前職でやっていたことと、やってほしいことが少しでもズレていれば、いくら経験があっても結果が出るとは限りません。
※そもそも経験者が前職で活躍をしていた保証がないのは、自社の退職者を見ればよく分かります。
逆に、未経験でも「この仕事をやりたい!」という熱量があって、コミュニケーション能力が高い人の方が、1年後にはバリバリ活躍しているなんてケースは、実はよくあります。
スキルは“後から”、思考と姿勢は“今すぐ”必要
特別な資格が必要な職種や、高度な技術が即求められる場面でない限り、
「テクニカルスキル」は後から鍛えられます。
本当に見極めるべきなのは、「その人がどう考え、どう行動する人なのか」。
つまり、センス・熱意・考え方です。
採用のうまい会社ほど、そこを見ているなと思います。
採用に必要なのは、「理想」じゃなくて「定義」かなと。
・この仕事に必要な資質ってなんだろう?
・今うちにいないけど、いたらすごく助かる人ってどんな人?
・その人が、この会社に来たくなる理由は何だろう?
“理想像”ではなく、“現実に存在する人物像”を定義すること。
そして、その人にしっかりと届くメッセージを届けること。
この「ターゲットの定義」が、採用成功の第一歩だと感じます。
採用は、マーケティング。
そして、**求職者は「お客様」であり、採用ターゲットは「商品を買ってほしい人」**です。
現実的に見て、誰に、何を、どんな魅力で届けるのか。
これをきちんと設計するのが重要ですね。